相馬焼インターン7日目(最終日)

今日でインターンも最終日。

松永窯で作業するようになって作業場には歩いて行くようにしている。こっちの朝は寒いくらいで歩くには丁度良い気候だ。宿泊している場所から松永窯までは歩いて15分ほどで、周りに視界を遮るものはなく水田が一面に広がっている。意外に目に入る高い山はなく自転車でどこまででもいけるような、歩いていると少しもどかしい感覚になる道のりだ。

今日は最終日ということもあり、今まで聞くタイミングがなかったことをちゃんと聞いておこうと作業最中でも隙あらば色々と質問をした。職人のこと、松永窯のこと、ECのことなど。こうして話を聞いていると、生産性の向上が一番の課題となっていることがわかった。ECのことについても相馬焼のブランドの強さを知ることができた。

作業としては、前日作成した器が削りごろになっていたので、削り作業を行った。カンナを貸してもらい削っては見たものの、京都で作ったカンナとは勝手が違い、全然うまくいかない!使っているのを見ている時は簡単そうで使いやすそうに見えたけど、実際に使ってみるとどうやったら気持ちよく削れるのか想像つかないほどうまく扱えなかった。そんな悔しい思いもしながら削り終わり後日送ってくれるとのことなので、釉薬の希望を書いて窯に残してきた。

削り作業以外は前日に納品した職人さんが挽いた器たちの検品とヤスリ作業を行った。だいたい800個ほどあるようで、これの検品だけでも2、3日かかりそうな感じだった。けど、この作業で正確とスピードの大事さを再認識できた。

学校でならう数学や国語など習い始めはどこで使うかわからないが、ある程度深く触れていくと、生活と繋がる場所に行き着くことがある。今回も訓練校で学んでいる内容や、大事だと言われている内容と自分自身の経験とが繋がることができた。言われた言葉をきちんと消化して、自分の言葉として人に伝えられることができる状態になったということだ。

こうした経験をできたことが何よりもよかった。2年間訓練期間があるがこの感覚をこの時に感じれたことがすごく大事だったと思えた。

他にも色々と多くの学びを得ることができたインターンだった。もちろん自分の想像を超える良い経験ができた。

相馬焼インターン6日目

今日は午前中に相馬焼の土を使って実際にロクロを回すことができた。相馬焼の土は半磁器で訓練の時に使っている信楽土と比べてだいぶ粘りが少ない感触がする。今回は自分でヘラやカンナなどを持ってこなかったので、松永窯の道具を使わせてもらった。

土を触ってわかったのは、半磁器の土だからなのか暫く土を触ってなかったからなのか全然思った通りに土を動かせないことだった。初めはこれまで相馬焼で見てきた挽き方を試して見たけど、全くもってこれっぽっちもうまくできなかった。

一応午前中の2時間ほどをかけて、お椀と皿、そして削り用のシッタを作って終了した。

午後はタタラ板を使った花器の作成を行った。目一杯時間を使って花器を作ったんだけど、おそらく2、30個ほどしか作れなかった。二重の器を作る職人さんは1日で300個の器を作るという。こうしないと採算が合わないんだとか、そう考えると正確さとスピードというのは本当に大事だなと花器を作りながら思うことができた。

インターンも残すところあと1日。明日は今日挽いた器を削れれば削って仕上げる予定

相馬焼インターン5日目

今日も引き続き松永窯での実習となった。

昨日は素焼きの検品作業の途中で実習が終了してしまったので、今日はその続きから始まった。この検品ではかなりの数の品物が破損していた。ここ松永窯では素焼きの品物も多く仕入れているようだが、その職人さんが物理的に離れているので、品物の輸送中に破損してしまうことが多いようだ。実に4分の1は破損していた計算になる。

今まではどうだったかは聞かなかったが、こうした細かい部分で定量的ではなかったり相関関係を明確にできなかったりするロスは震災後かなりの数になるんだろうなと思う。

午前中はあっという間で、検品と検品した品物に転写を行う作業でお昼の休憩になった。お昼は皆んなでテーブルを囲み、まったりと時間を過ごす。

午後は色々な作業に携わった。1つのカップに8つの馬が施された器があるのだけど、その馬の絵を転写する作業(これは結構1つの器に手間がかかってる)

釉薬の調合や、素焼きした品物のはたき、施釉した器の仕上げなどだ。

その作業中は親父さんやおかみさんが近くで作業をしていたので自分の作業中ずっとそれを見ることができた。見ることはとても良い勉強になる。

おかみさんの回しがけが特に勉強になった。

 

相馬焼インターン4日目

インターンは折り返しで、今日からは松永窯にお世話になる。

松永窯には初日に一緒に白河入りした2人の学生が既に実習をしていて、それに合流する形になった。この窯元さんは、錨屋窯と違いロクロ作業をあまりしない窯元さんだ。もともと相馬焼も京都と同じで分業制で器を作っていた。

けど、震災の影響や、もともとの後継者の問題でロクロ師が少なくなり錨屋窯のように自分の窯で器を挽き、絵付けを行い完成まで一貫して行う窯元も出てきている。錨屋窯の山田慎一さんは元々ロクロ師の方と一緒に仕事をしていた経験があり、ロクロを含め自分の窯で一貫して品物を作れるようになっているようだ。とは言っても、もちろん山田さんのところでもロクロ師に頼んで挽いてもらっている部分はある。

形が大きく変わってしまった時、その形であった時のシステムで継続するとどうしても尻すぼみになってしまう。相馬焼きは震災の影響とはいえ変わらなければならない局面にきているのだと強く実感した。


松永窯ではかつての分業制の作業を多く経験できそうな予感がする。

初日で行った作業は、素焼きのカップに左馬の転写を施していくことだった。

これがやっぱり難しくって、簡単そうに見えてなかなか綺麗に転写することができない。どうしてもカスレが出てしまう。。。

午後はこれまた、素焼きしたカップの検品を行った。詳しくは聞きそびれたが、分業制で素焼きされた器を大量に仕入れてそれに絵付けをしていくのが松永窯のパートだったようだ。素焼きはだいたい300個強を検品したが、結構破損が多く50個ほどが破損していた。

まだまだ初日で聞きたいことが山ほどあるので、順次聞けるタイミングで聞いていきたい。窯を切り盛りしている親父さんとおかみさんはどちらも気さくでとても良い雰囲気で作業をすることができる。

明日以降も楽しみだ。

相馬焼インターン3日目

今日でいかりや窯での実習は最後だ。ちなみにいかりや窯は「錨屋窯」と書く。

朝は9時半にシェアハウス前集合なので、訓練時より朝はだいぶゆっくり過ごせる。今日は浦屋さんが最終日なので、シェアハウスオーナーの青砥さんと3人で朝ごはんをもって送別会とした。

場所はemanon。青砥さんと少し早くシェアを出て、先にカフェで朝食の準備をする。カフェは町屋を改装したものなので、路面に対して縦長のプランをもつ。建物の奥には庭があり、ここに小さい畑が作られている。今回はここで取れたレタスと青砥さんオススメの地産の卵で作る目玉焼きで会を開くことになった。

ちょうど庭の前、カフェ部分から外に出るとテラスが8畳ほど作られているので、外で食べることになった。快晴、素晴らしい。

8時半頃から3人でテラスで料理を囲み、話しながら朝食をとる。浦屋さんは大学1年なので18歳かな、彼女には1回生でインターンに参加した理由や、参加した感想などを聞いた。

食卓には切られたバゲット、目玉焼きとウィンナーに採れたてのレタス、美味しい豆腐とコーヒーが並ぶ。コーヒーの香りが特にこの良き朝になじんだ。


いかりや窯では、昨日と同じで絵付けとたたら板の作成を行った。

途中窯元の慎一さんが二重の器の作り方を実演して見せてくれた。普段僕らが削りをする硬さよりだいぶ柔らかい状態で削り初めていた。そのため削り用のカンナの形状が自分たちが使うものとはだいぶ違うものだった。こうした柔らかさの理由なども話してくれながら実演は進んだ。二重の器は内側と外側を別々に挽き、それぞれを削った後に接着をする。その際に双方の微妙なズレを修正するやり方には驚いた。ここに柔らかくする理由があったのだ。その後も気をつけている箇所や見るべきポイントを教えてもらい、1つの器が作られた。

そうこうしているうちに作業の終了時間になってしまった。慎一さんは作業が残っているので、僕は別に帰ることになった。

実質2日間しかいれなかったけど、慎一さんにはいかりや窯だけでなく相馬焼の今までや現状などを教えてもらった。この人、この時、この場所でしか体験、知り得ないことに出会えた。貴重な日々だった。

相馬焼インターン2日目

インターンの期間はemanonのオーナーである青砥さんが管理するシェアハウスに寝泊まりする。シェアハウスは白河駅とは目と鼻の先だが、窯場までは少々距離がある。いかりや窯にいる間は、朝9時半にいかりや窯の山田さんがシェアハウスの前に車で迎えに来てくれることになっている。

今日も9時半に山田さんの車に乗り込み20分ほどかかって作業場まで向かった。山田さんの自宅は作業場から見ると白河駅からさらに離れている。かつて浪江町で窯を持っていた時は自宅と作業場が同じ敷地内にあったようだ。窯業はタイミングの仕事なのでこうした作業場と自宅の距離が離れると生活の効率が俄然悪くなる。さらにプレハブの作業場はかつての場所よりもだいぶ小さく、以前の生産量の3分の1に満たない現状があるという。そんな話を車の中で聞くことができた。

自分の想像力はチープで、福島の現状やインターンでの経験については行く前になんとなく想像はしていた。けど思った通り、想像以上のことが起こっている。だから、やっぱり想像したことは実際にやって確かめなければならない。想像というか想定でいつも当たっていることがあるとすれば、それは絶対想像した通りにはならないということだ。そのことはいつもわかっている。だから常に自分の目で見て肌で感じて、耳で聞くようにしている。

話は脱線したけど、2日目の作業は午前中に小学校のWSで作った器の絵付けを行った。こんなこともしているのかと正直びっくりした。その後、これらの素焼用に窯づめを手伝った。これで午前中が終わった。

午後は山田さんがマグカップの削りをするのを横目で見つつ、たたら板の作成を行った。相馬焼の削りはだいぶ柔らかい状態で削るようだ。特に二重にする器は2つの器を削った後に、その2つを重ねて縁の部分を接着するので、乾燥が進んでしまうとくっ付きにくくなるのと、すぐに割れてしまう。だから相馬焼では乾燥の管理が非常に重要になってくる。

たたら板の作成は学校では粘土の塊をスライスして作ったのみだったが、今回はローラーマシンで板を作成し、規定の形に切り抜く方法だった。作業中や作業の合間などで山田さんが色々と話をしてくれた。福島のことや窯業のこと、相馬焼や土のこと、そして家族のことまでも。こうした話は雨みたいに自分の中に染み込んでいくのがわかる。それが具体的に何になるのかわからないけど、自分が作り出すものに姿を変えて、姿を作る力になって目に見える形になるんだろうなと思う。それが自分でも楽しみだ。

2日目は6時頃に作業所を出て、山田さんと一緒に図書館に帰りによった。白河市立図書館はめちゃくちゃ良い図書館で、この図書館だけで街一つ分の魅力と言えるくらいの存在感を出している。何より漫画の種類が多い!

図書館を出た後は、ふらふらと白河の街を探索し、emanonによってから帰宅した。明日は一週目から参加していた浦屋さんが最終日なので、朝食で送別会をしようということになった。

まだ2日しかいないけど、良い街だ。人がとても素敵だ。

相馬焼インターン1日目

この8月の2週目は福島県で相馬焼のインターンに参加する予定だ。

このインターンは8月の第1週から4週までの期間を1週間ごとに区切り、学生を相馬焼の窯元に紹介し、職業体験させるプログラムだ。

インターンの初日は、まず10時40分に新白河駅に到着し、インターンを主催している松永さんと連絡をとって他の参加者とも合流し、お世話になる窯元さんの所へ移動した。

今回のインターンは主に京都の大学、専門学校などを対象に説明会を行ったようで、参加している学生は全て京都の学生のようだった。

8月の1週目からインターンは始まってるので、先週から引き続き2週目も参加する学生が1人、2週目からインターンに参加する学生が自分を入れて3人なので合わせて4人の学生がこの週はインターンに参加するようだ。

新しく参加する2人とは新白河駅で合流し、今回お世話になる松永窯まで移動する間に軽くそれぞれの背景を聞くことができた。2人は京都美術工芸大学の4回生で、春のインターンにも参加している学生だった。2人とも具体的にこちらの方に来ることを視野に入れているようで、その視点ともに興味が湧いた。初日はまだあまり深く突っ込んで話ができていないので、このインターンの間に少し深い所まで話せると面白いなと思う。

今回僕のインターンの内容は相馬焼の松永窯といかりや窯の二つの窯元さんにお世話になることになっている。僕は先週から参加している人とまずはいかりや窯に9日までお世話になることになった。

初日は松永窯といかりや窯の二つの窯元に挨拶にいき、いかりや窯でロクロの見学をした。インターンの説明などもあったので、2日目から本格的な作業をすることになるようだ。

今回のインターンは窯元さんの協力だけでなく、色々な人の協力で成立しているようで、主催者である松永さんには窯元の他にもこうした協力してくれている方々の紹介もしてもらった。

emanon(エマノン)というカフェのオーナーである青砥さんもその一人で、そこでたまたまイベントがあり、インターンが終わった後に参加した。そこでも丹波・篠山地域でPRプランナーをやっている安達さんと出会うことができた。

窯業関係者だけでなく、地域のキーマンと出会うことができて、楽しく酒をのみ色々と窯業以外の話をする機会を持つことができた。

幸先の良いインターン初日になった。